両利きの経営という言葉はこちらの著書から引用しました。
両利きとは右手も左手もあたかも利き手のように自由にかつ上手に使いこなせる状態です。
ここでいう両利きとは「知の探索」と「知の深化」を上手に使いこなすことを指します。
本記事ではこれらの意味となぜそれが必要なのか?を説明いたします。
「知の探索」と「知の深化」とは
経営者は一般的に、合理的な判断を下して経営を進めております。
ここでいう、合理的とは知りうる選択肢の中からメリット、デメリットやリスクを鑑みて最善の判断を下すことです。
例えば、スマートフォンベンダーの競合A社とB社がありあなたはA社の経営者だとします。
A社ではスマートフォンの新機種を開発中で、1年後に発売予定です。
B社でも新機種を開発中で同時期に発売予定です。
A社の経営者であるあなたは開発中になんらかのトラブルが発生した場合、発売を延期するかどうかの判断をしなければいけません。
延期した場合、売り上げは当初見込んでいた額より3億円低くなり、B社にユーザーを囲い込まれてしまいます。
1億円かけて人員を増やし発売日に間に合わせることも可能です。
さて、どっちを選びますか?
一般的には間違いなく、発売日に間に合わせるでしょう。
この判断のことを本記事では「合理的な判断」と呼びます。
その一方で、経営者の認知には限界があります。
この合理的な判断をするにも経営者が持つ知識や経験では本来存在する選択肢から程遠い可能性が高いのです。
経営者が持つ知識の大きさを円で表したときに30の大きさだとします。
しかし、世の中の知識をかき集めると100の大きさの場合、30の中での選択肢から合理的な判断を選ぶことになるのです。
その場合に、経営者が知の探索を行うべきなのです。
簡単なところで言うとコンサルタントを雇用し、社外のリソースを取り入れることで認知を広げることが該当します。
認知を広げることで、30が40、40が50になっていくというわけです。
その中から成功率が高くコストを抑えられるものを選択肢ブラッシュアップしていきます。その行為を「知の深化」と呼びます。
「知の探索」と「知の深化」はなぜ必要か
同一企業内で同じメンバー、同じ事業内容を何年も続けているとどうしても認知バイアスが発生します。
そこで、社内には存在しない(知り得ない)「外部の知」を取り入れることが重要となります。
早稲田大学 ビジネススクール准教授の入山章栄氏は、トヨタのかんばん方式もアメリカのスーパーマーケットの仕組みを取り入れて実現したものでTSUTAYAのCDレンタルは金融業社を取り入れて実現したものと述べています。
そして結論としては以下のように述べています。
「イノベーションは、一見関係ないもの同士を組み合わせることで生まれるため、『知の探索』が必要なのです。そして、組み合わせの結果、儲かりそうなところがあればそこを深掘りしていきます。これが『知の深化』(exploitation)です。知の探索と知の深化をバランス良くできる企業では、イノベーションを起こせる確率が高くなります。これを『両利きの経営』(Ambidexterity)といいます」
まとめ
既存のビジネスばかりに力を入れて知の深化ばかり行っているとそのうち、企業は必ず淘汰されてしまいます。
同様に、新規ビジネスを視野に入れて知の探索を行う必要があります。
そして知の探索はできる限り外部の人材を入れて認知の枠を大きくしていく必要があります。